腹腔鏡下胆嚢摘出術の発表以後,種種の鏡視下手術が行われている.兵庫県は本邦でも先駆的な取り組みがなされてきたが,消化器外科の領域に限っては最近の普及は必ずしも順調とは言えず,良い適応と思われる患者さんであっても,主治医などのの準備不足のためにこの手術の恩恵に浴することができないことは残念です.
徒弟制度の伝統を重んじてきた外科医のシステムも多少の影響を及ぼしているものが原因とも考えられますが,開腹手術に比べて意外と多い合併症に問題があることは逃れることができません.
マスコミの気まぐれな報道で大きな事故が非難されているおかげで,あまり表沙汰にはなっていませんが,開腹手術に比べ遼に多くの合併症が腹腔鏡手術で発生している事は事実です.
腹腔鏡手術で手術をはじめたものの思うようにいかず,安易に開腹への移行を行うことを繰り返したり(無理は禁物であることは当然ですが,いつもいつもと言うのは腹腔鏡手術ではないでしょう),補修の方法に未知であったために術後合併症を引き起こし,術者自身を含め周囲からの信頼を失ってしまって,所詮一時の流行の手術法,過去の遺物として器械とともに機材倉庫の片隅にほこりをかぶっている施設が多いとも耳にします.
これは腹腔鏡手術のための教育方法が確立されていないことが主たる原因と考えられます.「鏡視下手術の全て」といった体の教科書,学会の発表を見ては見るものの,いずれにしても,達人たちのバイアスのかかったデーターを見せられるばかりで,さて自分でやってみると全く局面が異なってしまい,現場では対処がわからない.というのが多数ではないでしょうか.
現実は開腹手術を基本にした手順で理解しながら腹腔鏡手術を勧めたいのに,そこらの対照もないままで,困難な手技も「可能である」と演者のテクニック自慢ばかり.S状結腸切除の腸管授動を行い始めたがwhite
lineでの剥離線がすぐに見えなくなってしまい,どうしても出血だらけの手術になってしまう.しかし教科書では「white
lineを見つけ切開する」としか書いてないし学会で質問しても(そんな初歩について質問することさえできないのが通常ですが)「十分に内側へトラクションをかければ見えてきます」との回答以上のものはなく「どことどこを,どんな鉗子で把持してどの方向へ切開するのか」を知りたいのだがわからずじまい.
そこで高いお金を出してセミナーに参加したものの動物でやらされるがやはり人間では勝手が違う.
結局は高名な先生をお呼びしてやっていただいて覚えるというのがせいぜいで,これとて費用は馬鹿にならず,周囲への遠慮は相当なものでしょう.
現在の腹腔鏡外科の勉強の実状とは,豊富なようでこんなところではでないしょうか.
この勉強会では消化器外科の手術治療を必要としておられる同じ病気の患者さんが,県下のどの施設に全ての先生が同じ視線,技術レベルで腹腔鏡下手術を視野に入れた手術が受けることができるようになことを目的として,術者同士の共有し合いながら勉強を行える場を作りたいと思います.
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